猫の書斎2

本と猫のことを中心にいろいろと書きます

指揮者は音楽家でパイロットで管理職

『指揮者は何を考えているか』 指揮者と言われて、ぼくがまず思い浮かべるのはテレビドラマだ。たとえば、「それが答えだ!」では三上博史が性格に難があり指揮者を首になった男を演じ、「のだめカンタービレ」では玉木宏が指揮者を目指す音大生に、竹中直人…

ローカル鉄道にあふれる地元への思い

『線路のない時刻表』 書店でこのタイトルを見たとき、何とも言えず、心惹かれてしまった。 裏面の説明を読むと、こう書かれている。 開通が待ち望まれた鉄道新線。国鉄の末期、完成間近になって工事中止となった新線への思い断ちがたく、著者は計画上の路線…

暗号の進化史

サイモン・シン『暗号解読』 「暗号」というと、ぼくのような平凡な人間には、コンピューターの通信で使われているもの、という程度のイメージしかない。暗号はネットで買い物をするときにサイトと端末との間の通信で使用されるし、スマホやPCがワイヤレスで…

科学的よりも科学する人でいたい

『科学する心』 最近、世の中の考え方がますます「科学的」になっているような気がする。スマホやインターネット、ドローン等々、魔法のようなテクノロジーが周囲にあふれ、日々その恩恵の浴しているぼくたちはそういう技術の基礎になっている科学に最大級の…

経済成長第一主義でいいの? GDPから考える幸せ

『幻想の経済成長』 「経済が成長することはいいことか?」 と聞かれたらどう答えるだろうか。 何を聞いているんだ、ボンクラ! 経済が成長するのは良いことに決まっている。経済が成長していれば、給料が上がり、自由に使えるお金や時間が増え、教育や趣味…

高橋名人のゲーム35年史:FC世代必読のビジネス書だ

『高橋名人のゲーム35年史』 この本には裏切られました。もちろん、いい意味でです。本書裏面の説明文にはこう書いてあります。 テレビゲーム業界のレジェンドが書く、ファミコンから現代までのゲームの歴史と裏側。「ゲームは1日1時間」「16連射」など、か…

ゲーム文化の基礎をつくってくれたファミコンの歴史

『ファミコンとその時代』 『ファミコンとその時代』(NTT出版) ファミリーコンピュータの開発担当者みずからが、「ファミコンとは何だったのか?」という問いを立てて、時代背景やゲームの歴史に照らして、ファミコンが与えたインパクトを考証していく本だ…

物語の本質は明確に語られない「真実」にある

『ストーリー ロバート・マッキーが教える物語の基本と原則』 本書は、良い物語が良い物語である理由を、シナリオのプロが解説した本だ。 著者のロバート・マッキーは脚本家や小説家にシナリオの指導を30年以上おこなっており、門下生からはアカデミー賞受賞…

ファミコンは制限があるからよかった。だって想像をはたらかす余地があるんですもの

『僕たちのゲーム史』 「あれっ? このゲームの画面、こんなんだっけ?」 最近、とあることでファミコンゲーム「ガシャポン戦士2」の画像検索をしていたときのことだ。今見ると、なんというか、記憶していたのよりもかなりシンプルで、おもしろくなさそう。…

93年発行『ゲーム・オーバー』は令和元年に読むといろいろと感慨深い一冊

『ゲーム・オーバー』 『ゲーム・オーバー』デイヴィッド・シェフ著、篠原慎訳(角川書店) 任天堂が、アップルやグーグルやマイクロソフトのような、情報産業を牛耳る世界的IT企業の一社だったとしたら…… これは突拍子もない想定に思われるかもしれない。だ…